1988年に劇場公開されたジブリ映画の代表作「となりのトトロ」。現在4歳直前の娘が大ハマりして毎週末鑑賞しています。トトロの中に描かれている世界は32年前にはどこにでもある当たり前の光景。シンプルだけどサステイナブルな暮らしを大多数の人が送っていました。
「となりのトトロ」とは
「となりのトトロ」のあらすじ
お母さんの療養所にほど近い農村に引っ越して来たサツキとメイの姉妹は、家のすぐ裏にある山で「トトロ」と言う森の精霊に出会います。姉妹は大人には見えないトトロと不思議な体験を重ねる日常を描いた作品です。
トトロは大人の忘れ物を思い出させてくれる
トトロの舞台となっている埼玉県所沢市は、宮崎駿監督が大学時代から住み続けている街。
「忘れ物を届けにきました」というコピーがトトロにはつけられていることはご存知でしょうか。
物語の中には自然が多く残る所沢市で宮崎監督が感じた「日本人が忘れかけている自然」を描かれていています。あることが当たり前な身近な自然。けれど多くの人が自然に生かされているということを忘れかけています。
そんな自然の重要性、そして自然のエネルギーの壮大さをトトロは思い出させてくれます。
サステイナブルな暮らしをしている「となりのトトロ」の中の人々
自然の距離が近い

物語の冒頭から「となりのトトロ」は自然に溢れています。
昔懐かしい田園風景、森に囲まれた草壁家、お世話になるお隣のおばあちゃんの畑。メイが川で見つけたおたまじゃくし。トトロの住む森。
物語の中には昔はあったたくさんの自然が描かれています。
二人子連れでその荷物?!

お母さんの入院する療養所の近くに越してきた草壁家。小さなトラック1台で引越しをします。
よくよく考えると…子ども「荷物少なくない?」
トトロの描かれている時代の子どもたちはテレビのない時代。物語の中でも、病院からの連絡は電報。東京の大学で教授として働くお父さんに連絡を取るのにも、村の中で電話を持っている唯一のご近所さんに電話を借りて連絡を取ります。
「不便」と言えばそれまでですが、物がなくても充分子どもたちは元気ですくすく育っているし、楽しそうなのがよく分かります。
昔の人は、そんなつもりはないのでしょうが、私たちから見るとミニマリストです。
人との距離が近い

お母さんが入院しているからということもあるかもしれませんが、物語の中では人と人の距離がとても近いのが印象的。
引っ越してきた草壁家の掃除をお隣のおばあちゃんは一緒にします。
畑でとれた野菜をおすそ分けしてくれます。
メイが迷子になった時も、村の人総出で探します。
井戸水、川の水、薪を生活に使う

掃除、洗濯、料理は井戸水や川から汲んできたお水を利用します。洗濯物は洗濯機なんてハイテクなものを使わず、手洗い。薪で火起こしをして料理。無駄なエネルギーは使っていません。
木と人は仲良し

「昔は、木と人は仲良しだったんだよ」
「となりのトトロ」より
トトロが住むクスノキを見ながら、お父さんがサツキとメイに言ったセリフです。
1950年代の人々の暮らしを描いているトトロの中の人々の暮らしは2020年現在を生きる私からしてみたら、充分と言って良いほど「木と仲良し」です。
大きな木を見上げて時間を過ごす人が現代にはどれくらいいるでしょうか。
サツキとメイのように庭に木の実を植えて、毎日のように「まだ出ないね」と言って大切に大切に育てる人がどれくらいいるでしょうか。
森の主がいる

このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。
「となりのトトロ」キャッチコピー
お父さんの声を務める糸井重里さんがつけたキャッチコピー。
トトロは大人には見えません。子どもたちだけに見える森の主です。世の中には、目には見えないけれど不思議なことがたくさんあります。
信じるか信じないかはあなた次第。
昔はできていた。じゃあ今は?
テクノロジーが進化し、便利になった私たちの暮らしを、1988年当時のサツキとメイの暮らしに戻すことは色々な意味で難しいことでしょう。
けれど、サツキとメイの暮らしから私たちが学べること、活かせるものはたくさんあると思います。
困っている人がいたら、手を差し伸べる。
自然、地球と友達になる。
暮らしを見直してシンプルにミニマルに暮らす。
大人になって観る「となりのトトロ」は、深くたくさんの愛や勇気をもらえ、何度も何度も見てしまいます。(我が家の場合は、娘主導ですが)