「体は老化するけれど、心は死ぬまで一生成長する」というのは、先日受けたヨガ講習でわたしの尊敬するヨガインストラクターの先生の一人に言われた言葉です。大勢のオーディエンスの一人だったわたしですが、まるでたった一人のわたしに向けられたと錯覚し感銘を受けた言葉です。
前回『男性も必読】「もしかして私、プレ更年期かも?!」35歳から急にはじまった体の変化とは? #わたしのプレ更年期日記』では、現在進行系でわたしの体に起こっていることに触れましたが、今回はその変化(老化)の一途を辿る体とどう向き合っているかについて思います。
体の調子が下降気味と感じている方や、更年期前の方の参考になれば嬉しいです。
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女性は7の倍数の年に変化が訪れる

段々と年齢を重ねるごとに、体のあちこちで感じる”あばれ”。
昔できていた運動が息切れするようになったり、眠りが浅くなったり、生理周期が乱れたり…暮らしのいろいろな場面で“あばれ”を感じることは年齢に応じて増える一方。
わたしも「まだまだイケる!」と思っていた矢先に、急にあばれだした体に対して最初はかなり戸惑いました。そして「わたし絶好調!」という日が月の中でほんの数日だということに気づくように。
「35歳はまだ早い。」
けれど、ちゃんと落ち着いて考えてみると、体が変化するのはごく当たり前のこと。
東洋医学の教科書と言われる、二千年前文献『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「女性は7の倍数」の年齢の時に節目を迎え、体に変化が訪れるという記述があります。
年齢 | 変化 |
7歳 | 歯が生え変わり、髪が長くなる。 |
14歳 | 月経がはじまる。 |
21歳 | 体が成熟。背丈が伸びきる。 |
28歳 | 筋骨がしっかりし、髪の長さがきわまり、身体が盛んになる。 |
35歳 | 顔の色艶にかげりが出て、髪や頬のハリに衰えが現れる |
42歳 | 顔がやつれ、髪に白いものが混じりはじめる |
49歳 | 肉体が衰えはじめ、閉経を迎える。 |
参考: 『黄帝内経』
”あばれ”は30代の体からはじまっている?

20代のときに豊富に出ていた成長ホルモンが30代では低下してきます。すると、細胞再生能力が衰え始めると言われています。
成長ホルモンは、子どもの体の成長をさせるだけではなく、オトナの体にも大切なホルモン。体内の物質をエネルギーとして使えるとうにして、更に代謝を促し、体を修復・再生してくれます。この働きが低下がすると、職場や家庭でハードワークして消耗すると以前のように体が回復してくれなくなるのです。
もちろん、これはあくまでも目安。体があばれ方は人それぞれ。上記の黄帝内経で示された年齢よりも早めにあばれ始める人もいれば、遅れてあばれだす人もいるでしょう。また、感受性が強い人と鈍感な人でも差が出てくるかもしれません。
また、あばれだしたからと言っても、上手にあばれをコントロールすることできる人もいると思います。それらを左右するのは、やっぱり日々のケア。体に訪れるさまざまなあばれをなるべく上手に乗り切るべく、わたしも現在試行錯誤しています。
変化する体との向き合い方

運動習慣を徹底する
体力不足解消や基礎代謝をアップしてたるみやすい体を引き締めるためはもちろんのこと、冷え対策などにも役立ちます。これらにおすすめなのは、ランニング。
初心者の方であれば短い距離を時間をかけて走る or パワーウォーキングでも◎。
また、女性であれば気になるのが”骨盤底筋”というワードという方も、30代半ばあたりから気になる方はいるのではないでしょうか?出産を経験している人であれば、若い年齢で合っても尿もれに悩んでいる方も少なくないかもしれません。
これも、また日々のケアが重要。
骨盤底筋体操など色々な鍛え方がありますが、わたしはヨガ講師なのでやっぱりおすすめはヨガです。
例えば、ヨガの橋のポーズ(セツバンダアーサナ)は骨盤底筋を鍛えるポーズです。寝転んだままできるポーズなので、夜寝る前や朝起きた後などベッドの上で取り組むことができ手軽に続けることができます。

橋のポーズ
- 仰向けになる。
- 足を腰幅に開き膝を立ててかかとをお尻の方へ近づける。
- ゆっくりとお尻を上げて30秒~1分ポーズを保つ
ポイントは、お尻の穴をキュッと引き締めるようにすること。
食べ方をその時々の体質に合わせて変化させる
食べ物はわたしたちの体を作っている重要な要素ですが、人それぞれに体質に合った食べ物を選ぶことが重要。
ここで参考にしたいのが、アーユルヴェーダ的考え方。アーユルヴェーダとは、世界3大医学の一つ。インド・スリランカで生まれた5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学です。
同じものを食べても太る人もいればそのままの人がいるように、人にはそれぞれ合う食べ物、合わない食べ物が存在します。それは、体質が異なるから。
アーユルヴェーダでは、風、火、水の3つの生命エネルギーのバランスでその人の体質が決まる、と考えています。このそれぞれの生命エネルギー(体質)が“ドーシャ”。
このドーシャは、時間帯や季節、また年齢などによっても変化すると言われていますが、それぞれの体質をチェックし自分に合った食事をするようにすることで、不調が緩和・改善することを目指していきます。
自律神経を整える
自律神経は、意識的に動かさなくても自律的に内臓を動かして必要に応じて様々な物質を分泌させることで体のバランスを整えてくれる神経です。
わたしたちがいちいち命令をしなくても、胃も腸も、心臓も働いてくれているのはこの自律神経のおかげ。
この自律神経は、”交感神経”と副交感神経というふ2つの神経系で成り立っています。
交感神経 | ・戦闘モード ・仕事中や活動中の緊張やストレスを感じているときに働く ・体の活動に必要な心臓機能が活発に働く |
副交感神経 | ・休戦モード ・体の回復、リラックス、睡眠中に働く ・栄養補給時の消化管運動、胃液などの分泌が活発になる |
わたしたち人間は、生きることを自律神経に丸投げしていると言ってもよいほどではないでしょうか。どちらもとても大切で重要な役割を担ってくれているわけですが、忙しい現代はどうしてもこの自律神経が乱れがちに。
例えば、体は疲れているのに脳がしっかりと起きていて中々眠れない…という方はコロナ禍によってとても増えたと言われています。これも、本来夜に優位に働くはずの副交感神経の代わりに、交感神経が優位になってしまっている可能性大。
そして、オトナ女子が覚えておきたいのが、女性ホルモンの分泌が減ってくることで自律神経の乱れにも影響するということ!
更年期が進むにつれて、女性ホルモンの分泌量は否応なしに減っていきます。すると女性ホルモンを分泌する司令を出していた脳の視床下部という場所がストレスを受けてしまうんです。この脳の視床下部は、自律神経にも司令を出すので、女性ホルモンが自分のいうことを聞かなくなってしまったことに対して、自律神経に八つ当たりしてしまうというわけですね。
特に更年期が進むにつれて優位になりやすいと言われているのが、交感神経です。眠りが浅くなってしまったり、イライラが止まらなくなってしまったり、便秘になってしまうなどは、交感神経が過剰に働いている症状の可能性大。
なので、オトナ女子は副交感神経を優位に働かせるようにケアすることが重要と言えます。
おすすめは、ヨガニードラの練習。睡眠の質アップに効果的なことで有名なヨガの練習法(リラクゼーション法)ですが、その他にもリフレッシュや生産性アップにつながるなどの効果も期待できます。
メンタルヘルスケアを向上させる
冒頭でもおはなしした通り、「35歳はまだ早い」と焦りと不安を感じたわたしは、現実を受け止めるのにしばらくかかりました。
まだまだこれからやること、やりたいこともたくさんある中で、体があばれ続け言うことを聞かなくなってしまったらどうしようとも思ったことも。
それでも、結局は自分の受け止め方次第。
女医さんによって更年期について書かれた本をいくつか読みましたが、ケア方法はそれぞれ先生によって考え方が違いました。西洋医学的なアプローチを推奨する先生もいればなるべく自然にそしてどうしても難しい場合は漢方など東洋医学的アプローチをすることをおすすめする先生まで様々。どの本にも必ず書かれている共通点が「更年期はいつか終わる」ということ。
できなくなったことや、衰えていく体や見た目にくよくよするよりも、その先に待ち受けている環境をより自由にしていくことが先決。
つまり、老化と向き合う心を身につけることもこのプレ更年期期間は大切なことだと思います。
そのためにジャーナリングを毎日欠かさずするようにしています。毎日の体の変化や心の変化などを逐一見逃さずに自分と向き合う時間は、わたしにとって1日の中でもとても大切で豊かな時間です。
ありのままの自分を受け入れる力

現代のこれだけ様々な技術が進歩していても、老化を食い止めることはできません。長い年月をかけて人は老いて、最後は死に至ります。
どんなに体が衰えたからと言って、心まで衰える必要はない。これは、冒頭で紹介したヨガの先生に言われた言葉ですが、人には本来、体の衰えに左右されない心というのを持ち合わせているのではとわたしは信じています。
このキーとなるのは、シンプルに言うと”ありのままの自分を受け入れる力”を身につけること、なのかなと思います。