8月初旬1週間家族でイタリア・トスカーナ州を家族で旅をしました。今回の最大のイベントは主人のお仕事の取引先であるワイン業者のワイナリーへ滞在。ワインにもイタリアにも縁もゆかりもない私でしたが、こんなチャンスは一生に一度とないと一念発起。飛行時間片道14時間、時差6時間あるイタリアの中部に位置するトスカーナ州へ旅をしてきました。
シンプルな暮らしをしている人々
ワインに詳しくない方でもイタリアワインの中でもトスカーナワインというのは耳にしたことがあるかもしれません。
わたしたちが招待されたワイナリーもトスカーナ州のキャンティ地方という場所にある高級ワイン(その中でもサステイナブルワイン)を作っているワイナリーです。
オーナーはドイツ人で奥様がイタリア人(ベネツィア出身)。オーナーはドイツでアートディーラーと成功して富を築いた億万長者。ワイナリーとして購入したお宅は、日本人であれば誰しもが美術の教科書で見たことのあるダビデ像の生みの親・ミケランジェロが住んでいた邸宅なのだそう。
もう世界が違いすぎてちょっと話についていけないことも多かったのですが、実際に彼らの生活を覗いてみると本当に良い意味でとても質素。見た目もどこにでもいる普通の方という印象。そしてとても親切。
ワイナリーは、数年前に息子が継いだため、「わたしは、シニアコンサルタントだから。はっはっは〜」と笑顔で話していましたが、現在もアートディーラーとしての仕事は継続しているようで、70を近い今も現役。よく働いていていました。
見た目は「おじいちゃん」のオーナーですが、とても元気で健康的。よく働くのもきっと普段から良いものを食べて、良いワインを飲んで、適度に運動をしてきっとヘルシーな生活を送っているのが見た目からよく分かりました。
私がイタリアで学んだ人生に役立てたい4つのこと
今まで世界の色々な場所を回ってきましたが、イタリアは得に面白い体験をした場所。得に、生まれ育った日本や現在住んでいるシンガポールとは違った生活、時間が流れているのだということがよく分かった旅でした。
そんな中で私がこれからのわたしのサステイナブルな暮らしに役立てたいと思ったことは「食べ物」、「ワイン」、「不便さを楽しむ」、「自然の中でシンプルに生きる」ということ。
食材は自家菜園でシンプルだけど身体に良いものを

ピザにパスタ、フォカッチャ、ジェラート…どれをとってもイタリア料理は美味しく誰もが大好きな料理の一つかもしれません。
ジュリア・ロバーツ主演のハリウッド映画『食べて、祈って、恋をして』でも主人公のリズは、「食べることに、食べ物に感謝する気持ちを取り戻したい」とイタリアを訪れることにしたことからも、旅前の私の期待値はかなり高かったことは言わずとも容易く想像できることかもしれません…
とても大きな希望と期待を胸に、本場のイタリアでイタリア料理を口にした私の第一声は、
「しょっぱ!」
3歳時の子どもの料理を作っていること、また南国に住んでいるため外食しても甘めの味付けの料理が多いことからイタリアでの外食はどれも塩分が強かったのが印象的。
一説によると、イタリア人はお水や炭酸水を飲むことが多いため糖尿病率はかなり低いらしいですが、高血圧を抱えている方が多いのだとか。
あまりの塩分濃度に旅開始当時少ししょげていた私は、正直「あと6日間もこの食事を続けるの…?」という気持ちでいっぱいになりました。
そんな気持ちで食べることに対して少しマイナスな気持ちを持ったままワイナリーへ。そこでは外食とは異なり専属のコックさんがワイナリーの人々の健康を考え塩分も控えめ、しかもイタリアのカンカン照りの太陽を十分に浴びて育った自家菜園の食材を使用して一皿一皿を手作りしてくれていました。
野菜は全て生のまま素材の味で十分美味しく、量をたくさん食べすぎることも食べなさすぎることもなくヘルシーな食生活を送ることができた数日間。私の食欲は再び増すことに。
自分たちが食べる分だけを、愛情を持って育て、しかも無農薬。もちろん食材が育ちやすい環境下だからこそ生み出される食材ということは分かりますが、何よりも育てている人、作り手が「美味しくなれ」と愛情をもって育てた食材を使用した一皿一皿は、慣れない塩分濃度の高い食事が続いていたわたしたちにとっては涙が出るほど美味しかった。(大げさかもしれませんが本当の話。)
また、ワイナリーのオーナー(主人の取引先の方)は、ベジタリアン。ワイナリーの食事は全て菜食主義のお食事だったのも、長旅で疲れたわたしたちの身体には優しく本当に求めていたものだったのかもしれません。
わたしは、ベジタリアンではありませんが、得に疲れた時は植物性のものを身体が求めていることに気づけたのもこの旅のギフトです。
不便さの中にある自由さ

ワイナリーは山奥中の山奥。決して、車がなければ訪れることのできない場所にあります。
周りには、スーパーなどもない。買い物にも気軽に行けないしキッチンがしまってしまえば、飲み水をもらうこともできずに困ることも。正直ここで暮らしていくなんて考えられないという感じの場所。
不便なことだけに注目してしまえば。
それでもそこで暮らしている人々がいます。
忙しい都会の中で、お金を出せば何でも手に入る、どこにでも行ける生活をしている私たちにとっては不便なことに感じることも、もしかしたらそこに暮らす人々にとっては不便を不便と感じず、それが暮らすということなのかもしれません。
不便な場所だからこそ、自家菜園もできる。静かで穏やかな時間や空気を感じることができる。ワイナリーもできる。
何でも手に入る都会でいそいそと働いている人よりも、不便な場所(簡単に言えば田舎暮らし)で生活を送っている人の方が私には自由で幸せそうに見えました。あくまでも私的な感想ですが。
自然の恵みに感謝をする

あるものは自然だけ。自然との共存がそこにはある。
たった3日間のワイナリーステイでしたが、
「何をしたの?」と聞かれたら、
「自然の中にいた。たくさんの気付きがあった。」
と答えます。
例えば、自家菜園で種を植えて食材を食べれるようにするために愛情をこめて育てるのは私たち人間の意思や行動。けれど、そこには自然の力が大きく関わっていてその力がなければ食べることは基、育てることもできません。
カンカン照りの太陽の光、空気、温度、湿度、土壌。全て自然があってこそ食べ物は育ちます。植物性、動物性に関わらず。そして動植物関わらず、それぞれ命があってその命を頂いて私たちは生かされているということにも自然と共に過ごす時間はわたしに気付きを与えてくれました。
もっと自然に感謝したい、わたしにもっとできることがある気がする。そんな思いを抱かせてくれました。
シンプルに生きるということ

極端な言い方をすれば、ワイナリーでの暮らしは自給自足に近い生活。本物のシンプルな生き方を送っている人たちに出会い、その人々の生活を覗き見させてもらえたのは本当に貴重な体験。
わたしはシンガポールの中でも海(人工ビーチ)に徒歩でいける場所に住んでいて、よく日本のテレビ番組で特集されるマリーナベイなどの便利で派手なエリアよりも、静かで自然がわりかし近い場所に住んでいます。
とは言え、シンガポールの総面積は東京23区程度の小さな町。どこに住んでいようと不便なこともありません。数年前に日本のドン・キホーテがオープンしてからは更に日本のものが安価で手に入ることもできて、困ることなんてほとんどありません。
それでも、何でも手に入ることが便利なのかと言えばそうではなく、わたしの身の回りを見てみると別になくても良いものはたくさん溢れています。
本当に必要最低限なものに囲まれて、楽しく心が豊かになる暮らしであればそれで十分幸せ。
真のシンプルライフを送っている人々の暮らしは、改めてシンプルな暮らしの価値をわたしに気づかせてくれました。
どうしたらシンプルに生きられるのか

「シンプルに暮らしたい」
ミニマリストが流行って、プラスするよりもマイナスする生き方をする人、そうしたい人が増えてきた昨今。
シンプルな暮らしの定義は人それぞれ違って良いとわたしは思っていて、都会にいても自分が「これがシンプルな暮らしだから」と思えば、それはシンプルな暮らしだと思います。
要するに、自分自身の考え次第。
生き方に決まりはありません。
先に言ったことと矛盾するようですが、ワイナリーで見た暮らしに関しては、本来のシンプルライフであって、それをできる場所や金銭的余裕があってこその環境下にいる人達がする生活。どこでもできる暮らしでもなけれでば、誰しもができる暮らしでもありません。
しかも「シンプルに暮らしたい」という方、皆さんが自給自足で山に籠もったような生活をしたい人ばかりではないと思います。
どうしたらシンプルに生きられるか。それは人それぞれの理想のシンプルな暮らしを考えて、自分の基準に合わせて暮らしていくこと。そうすることで、余計なことは排除されて、シンプルに生きていけます。
自分らしい生き方をしている人は、誰しもがいきいきしていて輝いて見えるもの。当人でなくても自然と周りの人を幸せにしてくれるということを今回の旅で改めて気付かされました。
そして、これからも大切にしたい改めて思ったのが「その暮らし方・生き方はサステイナブル(持続可能)かどうか」ということ。それは、自分一人だけでなく周りにとってもバランスがとれているかどうかということも忘れてはいけないということを深く感じながらワイナリー滞在記を締めくくりたいと思います。