コロナショックで夫の会社が倒産。その時、妻は…ピンチの状態を助けてくれたヨガの教え

娘を出産した時の感覚を今でも覚えているように、きっと私はこの日のことを一生忘れないと思います。エイプリフール前日の2020年3月31日。夫から「倒産したわ!」とLINEが来ました。あまりに軽いノリに思わず「ぷっ」と笑ってしまいましたが、普通に考えたらそれって結構大変な出来事。日本に住む親友に「父さん、倒産しちゃった。」とボケてみたら「それ笑えないよ。」と冷静に突っ込まれ心配されるほど。

それでもこの1ヶ月弱は、毎日笑っているし充実もしている。会社が倒産する前よりも幸せを噛みしめる瞬間が多くありました。

やっぱりそれは、ヨガをしていたおかげだったと思います。

カルマヨガの教え

カルマヨガ

「ヨガ」と聞くと、インスタグラムでみるようなポーズをとることをイメージしがちですがヨガには様々な種類(流派)があり、中にはポーズをとらないヨガもあります。インド系の古典的なヨガには、そのようなヨガが多くあり、「カルマヨガ」はそれに当たります。

ポーズをとらないヨガと聞くと、イメージがしづらいかもしれませんが、シンプルに言うと、カルマヨガは、日常生活の場面で実践するヨガです。

ヒンドゥー教の最高峰の聖典として賞賛されている詩説「バガヴァッドギーター(ギ―タ―)という700行の詩説」の中で、カルマヨガについて説かれています。

「カルマ」とは

サンスクリット語の「kri」という言葉から由来するカルマ。kriは「する」「行為」「行為によって起こる結果」という意味を持ちます。

日本語では「業」とも訳されます。自分のした事は、自分にすべて返ってくるという意味を持つ「自業自得」という日本語の言葉を思い浮かべるとその意味はより分かりやすいかもしれません。

過去が「今へ」、「今が」未来へ

今、起こっていることは、全て過去の「行い」「行為」(カルマ)の結果。それで、あれば「今」できることを精一杯するしかない。

それが、私が夫から倒産の報告を受けた時に最初に考えたことです。

ちなみに、カルマヨガは「善い」「悪い」という観念も捨てる教えです。結果への執着を手放して、自分で選んだその行為を100%全うすること説かれています。

未来は分からないけれど、今私ができること、私がやるべきことを考えて行動するのが第一。

ヨガの八支則の教え

八支則とは

「八支則」は、ヨガの多くの流派の基礎になるもの。2000年以上前に、パタンジャリという賢者が初めて「ヨガスートラ」とう経典に文書として記しました。

ヨガを実践することでヨガの最終的な目的である「悟り」に至るまでの哲学が解説されていて、ヨガの実践は8つの段階に分かれています。

特徴

段階特徴
ヤマ(禁戒)他人や物に対して守るべき5つの行動。(アヒサム、サティヤ、アステーヤ、ブラーマチャリヤ、アパリグラハ)
ニヤマ(勧戒)自分に対して守るべき5つの行動。(シャウチャ、サントーシャ、タパス、スワディヤーヤ、イシュワラプラニダーナ)
アーサナ(坐法)ポーズ。意識を身体の内側に向ける。
プラーナヤーマ(調法)呼吸法。呼吸と身体、心を繋げることに意識を向ける。
プラーティヤハーラ(制感)感覚のコントール。
ダーラナー(疑念) 集中。
ディヤーナ(無心)瞑想状態。
サマディー(三昧)悟りの境地 。至福の喜び。

ネガティブな言葉は使わない「アヒサム」

八支則の第一段階目である道徳的基本のヤマにある「アヒサム」は、非暴力を意味します。肉体的暴力だけでなく、精神的、行動、言葉の暴力も含みます。

一般的に考えたらネガティブな言葉や精神状態になってもおかしくないですが状況ではありましたが、結局どちらの行動も問題の解決には至りません。

しかも、タイムリーにシンガポールは4月7日からサーキットブレーカーと呼ばれる外出自粛期間が始まり、医療機関を含む一部の必要不可欠な仕事に従事している人以外は、在宅になりました。娘の学校もオンライン授業に切り替わり、3人が24時間家にいる状態に。

家族3人でこんなに長い時間を一緒に共有することは初めてです。(むしろ夫と2人の頃から考えても、こんなに長く一緒にいるのは初めてです。)

落ち込んでいるよりも「どうしよ〜」と未来に不安を抱くよりも、一緒にいる時間を大切にしたい。という思いを最優先にできたのは、アヒサムの教えがあったからだと思います。

執着を手放す「アパリグラハ」

ヤマの中の「アパリグラハ」は、物、理想、考え方、思考など様々な物や事に大しての執着を手放すという教えです。

「もしかしたら、このまま全てを失うかもしれない…」、「早く今まで通りの日常を取り戻したい…」、「大好きな今の家を出ることになることが悲しい…」

全て執着です。

失ってもよい。今まで通りでなくても、また新しいスタートを踏む。新天地での生活を送れるように今をできることをすることが先。

夢や希望、理想を持つことももちろん、今を一生懸命頑張る糧となりますが、それらに固執するのは、自分の首を締めることになります。

目の前に幸せに気づく「サントーシャ」

八支則の2段階目「ニヤマ」は、自分に対して守るべき5つ行動を教えてくれます。その内の1つが「サントーシャ」。日本語では、「足るを知る」とも言われ、最小限のもので満足感を感じることです。

こんなに長い時間一緒に家族でいられること。

日に日に成長する娘の貴重な瞬間を目撃できていること。

夫が朝昼晩の料理をしてくれること。

足りないものなんて何もなくて、今目の前にある現実で充分私たち家族は幸せ。

感謝「イシュワラプラニダーナ」

ニヤマの1つ「イシュワラプラニダーナ」は、感謝の気持ち、献身的な気持ちを持つことを教えてくれます。

10年間、経営してきた会社と家族を支えてくれた夫への感謝。

鬼よりも怖い夫の元で働いてくれていた従業員とその家族。

夫のことを支えてくれているサプライヤーや元従業員の方々。

家族に友達。

たくさんの愛とサポートがあるから今の私たちはいます。

ポーズの教え

身体を動かすポーズは、身体やメンタルを健康にしてくれるだけでなく、たくさんの教えや気付きを与えてくれます。

例えば、一連のヨガのシークエンスの最後にとる「シャバーサナ」。

屍のポーズや死体のポーズと日本語では呼ぶこのポーズは、一連のポーズのプラクティスで得た効果を身体と心に浸透させる大切なポーズ。

それと同時に、人は身体も心もいつでも再生できるということを教えてくれます。

諦めない。コツコツ、一つ一つを丁寧にすること。

それは、頑張り屋で、これ以前にもたくさんの困難なことにぶつかっても決して諦めないで再生し続けてくれた夫が教えてくれたことでもあります。

「ヨガ」という言葉の意味

昨年8月に訪れたイタリア。夫の取引先のワイナリーに遊びにいかせてもらいました。ミケランジェロが住んでいた家をワイナリーにした大富豪の暮らしはかなり質素で、本質的な幸せってこういうことなのかなと言うことを考えたのが昨日のよう。

コツコツ地道に働いていた大切な友人たちは今どのように過ごしているのか、無事であることをただただ祈ります。

「ヨガ」という言葉は、サンスクリット語の「ユジュ」から由来しています。

一人じゃないよ、みんな繋がってるよ。

助けてくれた人たちにたくさんの恩を返せるように、イタリアの皆さんにもたくさんの愛と勇気を届けられるよう精進していきたいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

シンガポール在住8年のライター/Webクリエイター/ヨガインストラクター(全米ヨガアライアンスRYT200保持)。3歳の娘 Emmaと夫と3人暮らし。Webを中心に、ファッション、ビューティー、ライフスタイル、旅行など幅広いジャンルに関する情報を発信。現在はWEBクリエイターとしてWEBサイトを運営、取材、執筆活動を行う傍ら、RYT200(Registry ID: 301558)を活かしシンガポールを中心にヨガインストラクターとしても活動中。